ビジネスの現場でよく耳にする「企画書」と「計画書」。
どちらも「プロジェクトを進めるための文書」という点では共通していますが、実は目的や内容、作成するタイミングが大きく異なります。
この違いを理解していないと、「場面に合わない書類を提出してしまう」「上司やクライアントに意図が伝わらない」といったトラブルにつながることも。
この記事では、企画書と計画書の違いをわかりやすく整理し、それぞれの正しい使い方を解説します。
企画書とは?
目的
企画書は 「これから何をやるのかを提案する」ための文書 です。
- 新しいサービスやイベントの提案
- クライアントへのアイデア提示
- 社内での承認を得るための資料
つまり、まだ実施されていないアイデアを形にし、相手に「やるべきだ」と思わせるのが企画書の役割です。
構成のポイント
一般的に企画書には以下の要素が含まれます。
- 背景(現状の課題)
- 目的(なぜこの企画が必要か)
- コンセプト(どんな方向性で進めるか)
- 内容(具体的に何をするか)
- 期待される効果
タイミング
「プロジェクト開始前」に作成し、承認を得る段階で使われます。
企画書テンプレート(例)
【企画書】
1. タイトル
例:「新規SNSキャンペーン企画書」
2. 背景・課題
例:「若年層のブランド認知度が低く、SNSでの接触機会を増やす必要がある」
3. 目的
例:「SNSを活用し、20代女性への認知度を前年比120%に引き上げる」
4. コンセプト
例:「共感型UGCキャンペーン」
5. 内容・施策
例:「Instagramでのハッシュタグ投稿キャンペーン」
6. 期待される効果
例:「認知度拡大、ファンコミュニティ形成」
計画書とは?
目的
計画書は 「承認された企画を実行するための詳細な道筋を示す」文書 です。
- プロジェクトをどのように進めるかを整理
- 進行管理やチーム内共有の指針になる
- 実務担当者が迷わず動けるようにする
構成のポイント
計画書には実務的な情報が盛り込まれます。
- スケジュール(いつ、誰が、何をするか)
- 役割分担(担当者・責任者)
- 必要なリソース(予算・人員・設備)
- リスク管理(想定される課題と対策)
タイミング
「企画が承認された後」、実際に進行する段階で作成されます。
計画書テンプレート(例)
【計画書】
1. プロジェクト名
例:「SNSキャンペーン実施計画書」
2. スケジュール
例:
・4月1日〜4月10日:告知準備
・4月11日〜5月31日:投稿キャンペーン期間
・6月1日〜6月15日:結果集計・報告
3. 役割分担
例:
・運営担当:マーケティング部
・デザイン担当:制作チーム
・集計担当:分析チーム
4. 必要リソース
例:予算200万円、人員5名
5. リスク管理
例:
・応募数が少ない場合 → インフルエンサー施策追加
・炎上リスク → 投稿ルールを事前に明確化
企画書と計画書の違いを比較
| 項目 | 企画書 | 計画書 |
|---|---|---|
| 目的 | アイデアや方向性を提案する | 実行の手順を整理する |
| タイミング | プロジェクト開始前 | 承認後〜実行段階 |
| 内容 | 背景・目的・効果など抽象的 | スケジュール・役割・予算など具体的 |
| 読み手 | 上司・経営層・クライアント | プロジェクトメンバー・関係者 |
間違えやすいケース
- 誤用例:「企画書」と言いながら、スケジュールや予算まで細かく書いてしまう。
→ それは本来「計画書」。企画書に盛り込みすぎると“ごちゃごちゃした提案”に見えます。 - 誤用例:クライアントに提出するのが「計画書」だけ。
→ 相手は「なぜそのプロジェクトをやるのか」を知りたいので、まずは「企画書」で納得してもらう必要があります。
まとめ
「企画書」と「計画書」は似ているようで、目的も役割も大きく異なります。
- 企画書=提案用(アイデアを伝える、承認を得るための文書)
- 計画書=実行用(具体的な進め方を整理するための文書)
この違いを正しく理解すれば、上司やクライアントへの説得力が増し、プロジェクトをスムーズに進めることができます。
場面に応じて適切な文書を作成し、信頼されるビジネスパーソンを目指しましょう。
