上司や教師から「やる気がないなら帰れ」と言われた経験がある人は少なくありません。
この言葉は強い圧力を持ち、受けた側は「本当に帰っていいのか」「自分の存在が否定されたのか」と混乱や不安を抱きます。
しかし、このフレーズは必ずしも文字通り受け取る必要はなく、背景には指導者の意図やコミュニケーションの問題が潜んでいます。
本記事では、この言葉を受けた時の正しい受け止め方と、職場や学校での具体的な対処法を整理し、心身を守りつつ前向きに行動するためのヒントを紹介します。
『やる気がないなら帰れ』の背景にある心理
1. 感情的な叱責
多くの場合、指導者自身がイライラや焦りを抱えていて、冷静に指導できず「強い言葉」で気持ちをぶつけているだけです。必ずしもあなた個人を本気で追い出したいわけではありません。
2. モチベーションを煽る意図
「やる気を見せてほしい」という期待を込めて言っている場合もあります。ただし、受け手にとっては逆効果となり、萎縮や反発を生みやすい言葉でもあります。
3. 指導スタイルの問題
古い価値観の上司や教師ほど「厳しく言えばやる気が出る」と考える傾向があります。言葉選びが不適切なだけで、必ずしも本心で「帰れ」と思っているわけではないことも多いです。
職場で言われた場合の対処法
1. その場では冷静に受け流す
感情的に反応すると事態が悪化します。表情を崩さず「申し訳ありません」「改善します」と短く答えるだけで十分です。
2. 言葉の真意を後で確認する
落ち着いたタイミングで「先ほどのお言葉の意図を教えていただけますか」と冷静に聞くと、上司自身も「感情的に言ってしまった」と気づくことがあります。
3. 記録を残す
繰り返し不適切な叱責がある場合は、日時・内容・状況をメモに残しましょう。パワハラ相談や人事への報告時に役立ちます。
4. 限界を感じたら相談・異動を検討
「やる気がないなら帰れ」が常態化している職場は、組織の指導環境に問題があります。信頼できる上司や人事、外部の労働相談窓口に相談することも選択肢です。
学校で言われた場合の対処法
1. 文字通り受け止めない
教師が本気で「学校を辞めろ」と言っているケースは稀です。多くは「集中して取り組め」という意味合いです。
2. 素直に態度を見直す
一時的に気が緩んでいた場合は、深呼吸して取り組み姿勢を正すことが有効です。
3. 気持ちを記録・共有する
不当だと感じたら日記やノートに記録し、後で保護者や信頼できる先生に相談しましょう。
4. 繰り返されるなら相談窓口へ
あまりに頻繁に繰り返され、精神的に苦しい場合は、スクールカウンセラーや教育委員会に相談することも大切です。
実際の体験談(匿名)
- 職場でのケース:「営業部の上司から何度も『やる気がないなら帰れ』と言われ、最初は本当に帰るべきか悩みました。後で冷静に確認すると、上司は『もっと本気を出してほしかった』と言っただけだったようです。記録を取りつつ、改善アピールを意識したら徐々に言われなくなりました。」
- 学校でのケース:「授業中に集中できずにいた時に先生から言われました。その時はショックでしたが、あとでスクールカウンセラーに相談すると『先生の表現の仕方の問題』と指摘され、気持ちが軽くなりました。」
法的観点から見た「やる気がないなら帰れ」
職場の場合(パワハラの可能性)
厚生労働省のガイドラインでは、パワーハラスメントは以下の3要件で判断されます。
- 優越的な関係に基づいているか
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えているか
- 労働者の就業環境を害しているか
「やる気がないなら帰れ」を繰り返し言われる、業務に支障をきたすほど精神的苦痛を受ける、退職を強要されるような言動がある場合は パワハラに該当する可能性 があります。
学校の場合(不当指導の可能性)
学校教育法や生徒指導要領では、教育現場での不当な言動は問題視されます。単発的な発言なら指導の一環とされる場合もありますが、繰り返し人格否定を含む発言が行われるなら「不適切指導」と判断され、教育委員会に報告対象となります。
相談窓口リスト
職場関連
- 総合労働相談コーナー(厚生労働省):労働条件・パワハラ・解雇などを無料相談可能
- 労働局 労働相談室:あっせんや調停を含めた支援を受けられる
- 法テラス(日本司法支援センター):弁護士相談や法的支援を低額または無料で利用可能
学校関連
- スクールカウンセラー:心のケアや学校内での対応相談が可能
- 教育委員会 いじめ・不登校相談窓口:教師による不適切な言動も相談対象
- 子供SOSダイヤル(0120-0-78310):全国どこからでも無料でつながる教育相談窓口
共通(メンタル面)
- 心の健康相談統一ダイヤル(0570-064-556):厚労省が設ける自殺予防・心の悩み相談窓口
- 地域の保健センター:専門職による心理相談が可能
『やる気がないなら帰れ』を言われた時のNG対応
- その場で反発して口論になる
- 無断で本当に帰ってしまう
- 感情的にSNSで晒す
- 自分を過度に責め続ける
これらは状況を悪化させ、信頼や評価を損なうリスクがあります。
正しい向き合い方まとめ
- その場では冷静に受け流す
- 真意を後で確認する
- 記録を残す
- 信頼できる人や窓口に相談する
- 繰り返しの場合は異動や転校など環境を変える決断も視野に
「やる気がないなら帰れ」は強い言葉ですが、必ずしも文字通りの意味ではなく、発言者側の問題や未熟さが背景にあることも多いです。
大切なのは、冷静に対応して自分の心身を守ること。法的観点や相談窓口も活用しながら、必要なら環境を変える勇気を持ちましょう。

