「その意見は適切ですね」「判断として妥当だと思います」──どちらも正しいように聞こえますが、「適切」と「妥当」にはニュアンスの違いがあります。
似た言葉として混同しやすいため、ビジネスや論文などのフォーマルな場で誤用すると「言葉の使い方が甘い」と思われることも。
この記事では、「適切」と「妥当」の意味の違い、背景、そして使い分けのコツを例文とともに解説します。
「適切」の意味
定義
「適切」とは、 状況や条件に合っていること を指します。場面にふさわしい、的を射ているというニュアンスです。
使用例
- ご指摘は適切です(その場にふさわしい)
- 適切なアドバイスをいただいた(状況に合っている)
- 問題に対して適切な対応を行う(条件を満たしている)
ポイント
「適切」は “フィット感” を重視。状況や文脈との一致を表します。
「妥当」の意味
定義
「妥当」とは、 道理にかなっていて正しいこと を指します。論理的に考えても納得できる、理屈が合っているというニュアンスです。
使用例
- 裁判の判決は妥当である(合理的に正しい)
- 彼の主張は妥当だ(筋が通っている)
- 結論として妥当な判断だ(道理に合っている)
ポイント
「妥当」は “合理性・正当性” を重視。理屈や基準に照らして正しいかどうかを表します。
「適切」と「妥当」の違いを比較
| 項目 | 適切 | 妥当 |
|---|---|---|
| 意味 | 状況や条件に合っている | 道理や基準に合っている |
| ニュアンス | フィットしている | 合理的に正しい |
| 使用場面 | 会話・ビジネス・日常対応 | 法律・論文・議論・評価 |
間違えやすいケース
- 誤用例1:「裁判の判決は適切だ」
→ 法律や論理の正しさを強調する場面では「妥当」が正解。 - 誤用例2:「適切な結論を導いた」
→ 道理にかなった“結論”は「妥当な結論」が自然。 - 誤用例3:「この対応は妥当だ」
→ 状況に合った処置を強調する場合は「適切な対応」が適切。
まとめ
- 適切=状況や条件に合っている(フィット感)
- 妥当=道理や基準に合っている(合理性・正当性)
「適切」は現場や会話での“ふさわしさ”を示すときに使い、「妥当」は議論や評価の中で“理屈として正しいかどうか”を強調するときに使います。
この違いを意識すれば、より説得力のある言葉選びができるようになります。
