失業保険(雇用保険の基本手当)は、失業中の生活を支える重要な制度です。
しかし、一部では「働いているのに申告せずに受給した」「副業収入を隠した」などの不正受給が後を絶ちません。
近年はマイナンバー制度や銀行口座・税情報との連携が進み、不正は従来よりも発覚しやすい状況になっています。
本記事では、失業保険の不正受給がどのように見破られるのか、銀行口座やマイナンバーとの関係、不正発覚時のリスク、さらに合法的に働ける範囲についても詳しく解説します。
失業保険の不正受給とは?
不正受給とは、本来の受給要件を満たさない状態で手当を受け取る行為を指します。代表的なケースは以下の通りです。
- 就職済みなのに「無職」と申告
 - アルバイトや副業収入を隠す
 - 勤務日数や時間を偽る
 - 家族や知人の会社で働きながら受給
 
これらはいずれも「詐欺」にあたり、意図的でなくても厳しく処分される可能性があります。
不正受給は銀行口座で見破られる
不正受給が発覚する最大の要因は「銀行口座の入出金履歴」です。
入金で分かる就労実態
- 毎月決まった金額が振り込まれる → 給与収入の可能性大
 - 複数の入金元がある → 複数の副業やアルバイトの存在が判明
 - 現金払いを避けても、マイナンバー連携で追跡可能
 
ハローワークの調査
必要に応じてハローワークは金融機関に照会を行うことができます。また、企業が雇用保険や社会保険に加入させれば、自動的に就労が明らかになります。
マイナンバー制度で監視強化
マイナンバーは「税・社会保障・金融情報」をひもづける仕組みです。
連携する主な情報
- 税務情報(給与支払報告書・確定申告)
 - 雇用保険や年金記録
 - 金融機関口座(2025年以降、段階的に連携強化)
 
このため、アルバイト収入を「申告しなければ大丈夫」と考えるのは危険です。給与支払報告書は必ず自治体や税務署に提出され、それがマイナンバーを通じて把握される仕組みになっています。
実際にあった摘発事例
厚生労働省や自治体の発表によると、全国で毎年数千件の不正受給が摘発されています。
- ケース1:パート勤務を隠して受給
40代女性がスーパーでパート勤務をしながら失業保険を受給。雇用保険加入をきっかけに発覚し、約80万円を返還+追加徴収。 - ケース2:短期バイトの繰り返し
20代男性が短期アルバイトを繰り返し、収入を申告せずに受給。アルバイト先からの給与支払報告で判明し、約30万円の返還命令。 - ケース3:会社経営しながら受給
50代男性が知人名義で会社を経営し、実質的に報酬を得ながら失業保険を受給。調査で発覚し、数百万円規模の返還+刑事告発。 
これらの事例からもわかるように、「少額だから大丈夫」「短期だから平気」という考えは通用しません。
不正発覚時のペナルティ
不正受給が発覚すると、以下の厳しい処分が下されます。
- 不正受給額の全額返還
 - さらにその2倍の納付金(合計3倍)
 - 最長3年間の受給停止
 - 悪質な場合は刑事罰(詐欺罪)
 
たとえば10万円の不正受給なら、最大30万円の返還が必要になります。
バレないと思ってもリスクは高い
不正が発覚するルートは複数あります。
- 税務署への給与支払報告書
 - 社会保険・雇用保険の加入情報
 - 銀行口座の入出金調査
 - 内部告発(同僚・知人の通報)
 
特に内部告発は意外と多く、「あの人働いているのに失業保険をもらっている」という通報がきっかけで調査されることもあります。
アルバイトはどこまで可能?
「全く働けないと生活が苦しい」という方のために、失業保険受給中でも認められる就労があります。
1日4時間未満のアルバイト
- 1日4時間未満の就労は「就労」ではなく「内職・短時間労働」として扱われる。
 - 申告すれば受給可能。ただし報酬額に応じて一部減額される場合あり。
 
週20時間未満の就労
- 週20時間未満であれば「雇用保険の被保険者」にはならないため、受給資格を失わない。
 - ただし必ずハローワークに申告が必要。
 
ポイント
- 「申告すればOK」「隠すと不正」
 - 働くこと自体は禁止されていない
 - 正直に申告することで安心してアルバイト可能
 
正しく受給するためのポイント
- アルバイトや副業をする場合は必ず申告する
 - 就職したらすぐにハローワークに報告する
 - 少しでも迷ったらハローワークに確認する
 
まとめ
失業保険の不正受給は、銀行口座やマイナンバー、税情報との連携によって容易に発覚します。
不正が判明すれば、返還+罰金で大きな負担を背負うことになります。
「少しなら大丈夫」と考えるのは非常に危険です。
逆に、ルールを守れば受給中にアルバイトも可能です。
大切なのは「正直に申告すること」。制度を正しく活用し、安心して次のキャリアにつなげましょう。
  
  
  
  
