「退職を決めたけれど、どう伝えたらいいかわからない」
「上司に引き止められたら、どう言えばいいの?」
──そんな悩みを抱えている人は多いでしょう。
特に社会人にとって“退職の伝え方”は非常に繊細な場面。
不満をそのまま伝えるとトラブルの原因になりますし、言葉を選ばなければ上司の印象を悪くしてしまうこともあります。
この記事では、上司に悪印象を与えずに退職を伝えるコツと、使える例文集を紹介します。
「どんな言い方なら円満に辞められるか」「引き止められたときの返し方」まで、現場で使える実践的な表現をまとめました。
なぜ“退職理由の伝え方”が重要なのか?
退職は、これまでの職場との“最後のコミュニケーション”です。
どんなに不満があっても、**伝え方次第で「印象が良くも悪くも変わる」**のです。
悪い伝え方の例
→ 本音かもしれませんが、ストレートに伝えると角が立ちやすく、上司も防衛的になってしまいます。
良い伝え方の例
→ ポジティブな表現に言い換えることで、前向きな印象を残せます。
上司に伝えるタイミングと順番
退職の伝え方は、タイミングと順番が大切です。
① 直属の上司に最初に伝える
まず最初に話すべきは直属の上司です。
人事や同僚に先に話すのはマナー違反にあたります。
「少しお時間をいただけますか。ご相談したいことがございます。」
このように切り出すのが自然です。
② 退職の意向は1〜2か月前に
法律的には2週間前でも退職可能ですが、実務的には1〜2か月前が望ましいです。
業務の引き継ぎや後任の調整期間を考慮しましょう。
③ 最初の面談では「意思を伝える」ことに集中
初回の面談では、細かい理由よりも「退職の意思が固まっている」ことを丁寧に伝えることが大切。
上司はまず引き止める可能性が高いですが、感情的にならず冷静に対応しましょう。
【目的別】悪印象を与えない退職理由の言い回し集
退職理由を伝えるときは、「ネガティブ→ポジティブ」へ変換するのが基本です。
ここでは目的別に、上手な言い回し例を紹介します。
① キャリアアップ・転職を理由にする場合
NG例:
「今の仕事では成長できない」
OK例:
「これまでの経験を活かしつつ、新しい分野に挑戦したいと考えました。」
「より専門性を高めるために、新たな環境でスキルアップを目指したいと思っております。」
ポイント:
“会社のせい”ではなく“自分のキャリア選択”として話すのがコツ。
② 職場環境・人間関係が原因の場合
NG例:
「上司との関係がうまくいかなくて」
「職場の雰囲気が合わなかった」
OK例:
「チームで働くうちに、自分の仕事の進め方を見つめ直したくなりました。」
「より自分の力を活かせる環境で挑戦したいと考えています。」
ポイント:
原因が人間関係でも、個人名や具体的な不満は絶対に出さないこと。
③ 体調・家庭の事情による退職
NG例:
「体調が悪くて働けません」
OK例:
「体調面を考慮し、今後の働き方を見直すことにいたしました。」
「家庭の事情により、やむを得ず退職する運びとなりました。」
ポイント:
体調・家庭の理由は“仕方ない事情”として理解されやすいです。
ただし、詳細を話す必要はありません。
④ 新しい分野への挑戦を理由にする場合
「以前から興味のあった分野で挑戦してみたいと思い、決意いたしました。」
「これまでの経験を基盤に、別の業界で新しいスキルを磨きたいと考えています。」
ポイント:
“成長意欲”を強調すると前向きな印象になります。
⑤ 会社方針・働き方の違いによる退職
NG例:
「働き方が合わない」
「残業が多くて疲れました」
OK例:
「今後の働き方やキャリアを見直す中で、自分に合った環境を探したいと考えるようになりました。」
「仕事の幅を広げるため、違う形で挑戦してみたいと思っております。」
引き止められたときの上手な返し方
上司は多くの場合、あなたを引き止めようとします。
そのとき感情的にならず、「感謝+決意」を伝えることが大切です。
例文①:やんわり断る場合
「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。
ただ、自分の中で新しい目標が明確になっており、このタイミングで挑戦したいと考えています。」
例文②:引き止められても意思を変えない場合
「ご心配いただきありがとうございます。
しっかり考えた上での決断ですので、今後の成長のためにも一歩を踏み出したいと思います。」
ポイント:
上司への退職理由伝え方テンプレート(会話形式)
上司:「最近どうした? 退職を考えていると聞いたけど。」
自分:「はい。○月末を目処に退職を希望しています。
これまでご指導いただきありがとうございました。
自分のキャリアを改めて見直した結果、新しい環境で挑戦してみたいと考えるようになりました。」上司:「まだ若いんだし、もう少し続けてみたら?」
自分:「ありがとうございます。そう言っていただけて光栄です。
ただ、今の自分にとってはこのタイミングが新しい一歩を踏み出す良い機会だと思っております。」
このように、感謝と前向きさをベースに話すと、角が立たずスムーズに会話が進みます。
【NG集】上司が引いてしまう退職理由の言い方
NGフレーズ | 問題点 | 改善例 |
---|---|---|
「もうこの仕事は合いません」 | 否定的で自己中心的 | 「自分の強みを活かせる環境を探したい」 |
「給料が安いので」 | 会社批判と受け取られる | 「待遇よりも、経験を積むことを優先したい」 |
「上司が怖くて…」 | 人間関係トラブルと誤解される | 「自分の働き方を見直したい」 |
「辞めたい気持ちは前からあって」 | 準備不足・軽率に見える | 「慎重に考えた上での決断です」 |
退職理由を伝えるときのマナーまとめ
- 直属の上司に最初に伝える
- 直接会って話す(メールはNG)
- 感謝と前向きな姿勢を忘れない
- ネガティブな言葉は言い換える
- 退職日や引き継ぎにも配慮する
まとめ
退職理由の伝え方は、“正直さ”よりも“誠実さ”が大切です。
たとえ本音が不満であっても、伝え方を工夫すれば円満に退職できます。
「感謝」「成長」「挑戦」──この3つのキーワードを意識して話せば、
上司にも好印象を残し、最後まで気持ちよく送り出してもらえるはずです。
退職は終わりではなく、新しいスタート。
丁寧な言葉で、あなたの次の道への第一歩を踏み出しましょう。
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