「停電が復旧した」
「データを復元した」
──どちらも“元に戻す”という意味を持ちますが、対象やニュアンスは異なります。
特にビジネスや災害対応、ITの場面では「復旧」と「復元」の正しい使い分けが求められます。
誤用すると伝わり方が変わり、対応力や信頼性を損なうことも。
この記事では、『復旧』と『復元』の違いを整理し、シーンごとの適切な使い分け方をわかりやすく解説します。
『復旧』とは?
意味
「復旧」とは、 壊れたり止まったりしたものを、再び使える状態に戻すこと を指します。
インフラやシステム、設備など、機能の回復に関して使われることが多いです。
使用例
- 停電が復旧した
- ネットワーク障害が復旧する
- 災害からの道路復旧
ポイント
- 重点は「機能の回復」
- 災害・インフラ・システムに関連してよく使われる
『復元』とは?
意味
「復元」とは、 元の形や状態に戻すこと を指します。
外観やデータ、構造物など、形態の再現に関連します。
使用例
- 遺跡を復元する
- 消去したデータを復元する
- 古文書を復元する
ポイント
- 重点は「形や姿の再現」
- 文化財・データ・建造物などに関連して使われる
『復旧』と『復元』の違いを比較
項目 | 復旧 | 復元 |
---|---|---|
意味 | 機能を元の状態に戻す | 形や姿を元に戻す |
対象 | インフラ・システム・設備 | 遺跡・建物・データ |
ニュアンス | 使えるようになる | 元の姿を取り戻す |
使用場面 | 災害対応・IT障害・社会インフラ | 文化財保護・研究・デジタルデータ |
間違えやすいケース
- 誤用例1:「データの復旧」
→ 一般的には「データの復元」が正しい。データは“形態の再現”だから。 - 誤用例2:「道路の復元工事」
→ 正しくは「道路の復旧工事」。道路は“機能回復”が目的だから。
まとめ
- 復旧=機能の回復(使える状態に戻す)
- 復元=形態の再現(元の姿を取り戻す)
災害・インフラ・システムでは「復旧」、遺跡・建物・データでは「復元」と覚えておけば、正しく使い分けられます。
言葉を的確に選ぶことで、対応力や伝達力も格段に向上します。