会社員として働いていると耳にすることの多い「昇格」と「昇進」。
どちらも「キャリアアップ」を意味するように思われますが、実は制度的にも評価基準的にも意味が異なります。
人事制度や評価面談で正しく理解していないと、「誤解」や「期待外れ」につながることも。
本記事では、昇格と昇進の意味の違い・人事制度における使い分け・評価基準のポイントを徹底比較し、キャリア形成に役立つ知識をわかりやすく整理します。
「昇格」とは?
- 意味:社内での「職位(グレード)が上がること」
- 特徴:等級制度や役職ランクの中で、社員の位置づけが変わることを指す
- 例:
- 一般職から主任へ
- 主任から係長へ
- 評価基準:能力評価(スキル・専門知識・資格など)が重視される
- 制度上の位置づけ:会社の「等級制度」に紐づけられることが多い
👉 昇格=職位(グレード)のステップアップ
「昇進」とは?
- 意味:社内で「役職やポストが上がること」
- 特徴:具体的なポスト(係長・課長・部長など)に就くことを意味する
- 例:
- 課長代理から課長へ
- 課長から部長へ
- 評価基準:実績やリーダーシップ、部下のマネジメント能力などが重視される
- 制度上の位置づけ:組織構造における「ポジションの昇格」
👉 昇進=ポスト(役職)のステップアップ
昇格と昇進の違いを整理(比較表)
| 項目 | 昇格 | 昇進 |
|---|---|---|
| 意味 | 職位ランクが上がる | 役職やポストが上がる |
| 基準 | 能力評価(スキル・資格など) | 実績評価(成果・マネジメント) |
| 制度 | 等級制度に基づく | 組織ポストに基づく |
| 例 | 一般職 → 主任 | 課長代理 → 課長 |
| 給与への影響 | 基本給レンジが上がることが多い | 役職手当が増えることが多い |
👉 昇格=等級のアップ、昇進=役職のアップ と覚えるとスッキリ。
実務ケーススタディ|現場での違い
ケース1:昇格はしたが、昇進はできなかったAさん
- Aさんは専門資格を取得し、主任から係長等級に「昇格」。
- しかし部署のポストが空かず、係長の「昇進」は見送り。
- 結果:基本給レンジは上がったが、役職手当はつかない。
👉 スキルは評価されたが、組織のポスト事情で昇進は保留。
ケース2:昇進はしたが、昇格は伴わなかったBさん
- Bさんは課長代理として成果を挙げ、課長に「昇進」。
- ただし昇格は据え置きのため、等級的には変わらない。
- 結果:役職手当は増えたが、基本給テーブルは変わらず。
👉 成果が評価されポストに就いたが、昇格は後回し。
ケース3:昇格と昇進が同時に行われたCさん
- Cさんは主任から係長等級に「昇格」し、そのまま係長ポストに「昇進」。
- 結果:基本給も役職手当も増額。
👉 能力と成果が両方認められた理想的パターン。
評価基準の違い
- 昇格の評価基準
- 専門スキル・資格
- 業務遂行能力
- 社内試験や研修
- 昇進の評価基準
- 実績(数値目標の達成)
- チームマネジメント能力
- 部下育成力
👉 昇格=個人の力、昇進=組織運営力
会社員が押さえるべきポイント
- 昇格と昇進は制度上も評価基準も異なる
- 昇格しても昇進できるとは限らない(逆も同様)
- キャリアアップを考えるなら「専門性」と「マネジメント力」両方を磨く必要がある
まとめ
- 昇格=等級アップ(能力・スキル基準)
- 昇進=役職アップ(実績・リーダーシップ基準)
- ケーススタディを見れば、給与やキャリアにどう影響するかが理解しやすい
- キャリア形成のカギは「昇格+昇進の両立」

